【加計学園問題】なぜ加計学園は獣医学部新設を認可されて京都産業大学は認可されなかったのか
先日来より、この問題に興味を持ち、個人的に調べています。
多くのニュースで、京都産業大学の獣医学部の設立が却下されて、加計学園(の運営する岡山理科大学)の今治での獣医学部が認可されたのか、という同一の土俵で取捨選択されたかのように報じられているので、経緯などをまとめてみました。
最初に結論めいたことを書いてしまうと、
今治市は“獣医学部の誘致を目指して、国家戦略特区の指定を求め”、特区として指定された後に“(その事業者として)加計学園が応募、選定された”のに対し、京都府と京都産業大学は“文科省によって抑制されている獣医学部の新設・定員増抑制解除を求めた”
という異なった申請なので、別に今治市に認められた1校の枠を巡って、加計学園と京都産業大学が争ったわけではないのです。
今治市が先に国家戦略特区の指定を受け(これで今治市には獣医学部の新設が可能になった)、その後で京都産業大学が特区の提案をしたが、2校目(2学部目)は認められなかったただけという話です。
愛媛県と今治市が岩盤規制をこじ開けて1学部の新設枠が今治市にできたということ。早くから加計学園が協力を申し出ていて、今治市も加計学園の誘致を見込んでいた(というか、来てくれる大学の当てもなく提案など考えられない)が、公募はオープンに行っています。
京都産業大学は京都府と共に学部の新設を提案していたので、公募に応募することはありえません。
まるで、1学部の枠を巡って加計学園と京都産業大学が争ってたかのように印象操作してるのはマスコミの捏造です。→『【テレビ朝日捏造報道】2017/05/24 報道ステーション【加計学園問題】』
背景
過去の記事に書いたように産業動物医師が不足しているにもかかわらず、ペット向け獣医は増え続けているため、獣医を増やしたくない獣医学会とその既得権益を守る一部の政治家により、長年、獣医学部の新設は許可されていませんでした。所謂、“岩盤規制”というものです。
それを、規制緩和を進める政府により、ようやく、獣医学部空白地帯の四国が国家戦略特区として獣医学部の新設が許可されました。地元と一部政治家の努力によるものです。
下は、ブログ主の購読している2紙の時系列の表です。国家戦略特区の認定時期が、2015年12月と2016年01月とズレがあるので、2つ並べ、後述する京都府の「創薬分野等新たなニーズに対応する獣医学部の設置について」という資料から得た情報を右に付け加えました。
今治市は2007年から獣医学部の新設を求めていた
読売の表にあるように、今治市は2007年から2015年まで計15回、獣医学部新設を求めて構造改革特区(当時)の申請を行ってきました。
この間、過去の記事に書いたように、2010年(平成22年)には民主党政権下で民主党加藤敏幸議員が四国の産業獣医師不足を訴え、赤松農水大臣も対処する旨発言しています。
2015年12月(2016年01月?)に、今治市が国家戦略特区の指定を受けました。
2015年6月22日には民進党の玉木雄一郎議員が獣医師会総会内でこれを阻止するよう努力する旨発言したのは過去の記事に書きました。つまり、彼の力は及ばなかったわけです。
2016年11月には、国家戦略特区諮問会議が特区内での獣医学部新設を認めます。
ここで、内閣府の国家戦略特区の各会議の構造を見てみます。(下は画面キャプチャ)
これを見ると、国家戦略特区ワーキンググループでヒアリング等を受けた後、国家戦略特区諮問会議へと送られることが分かります。
愛媛県・今治市のヒアリングは平成27年6月5日に行われており、その議事録は下記ページにて公開されています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h27/hearing_teian.html
2017年11月、事業者公募にて加計学園を認定します。
京都府と京都産業大学は2016年10月に獣医学部の新設(綾部市内)のために、抑制の解除を求めた
京都府と京都産業大学は2016年(平成28年)10月17日に「新たな獣医学部・大学院研究科の設置のための抑制解除」を求めてワーキンググループでヒアリングを受けています。その議事録は内閣府の下記ページで公開されています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/hearing_t.html
これ以外に、京都府の「創薬分野等新たなニーズに対応する獣医学部の設置について」という資料が公開されています。
下は、PDFキャプチャ
これ以降の経緯は不明(※)ですが、諮問会議に持ち上げされることなく終了しています。
要するに、過去の記事(→カテゴリ『加計学園に見るマスコミの捏造』 )で見てきたように、民進党・高井祟志等の尽力で、ようやく今治市が獣医学部新設を認められた後に、京都産業大学も新設を求めた話で、特区以前に認められなかったわけです。
【※追記】朝日新聞のサイトの記事『加計計画「できない選択肢ない」 内閣府要求の日時記録』(2017年5月18日04時57分配信)に下のような時系列が提示されています。
これによると、2016年11月に「特区諮問会議(議長・安倍首相)が「空白地位」に限り新設認める方針」とあり、これにより、「京都府・京産大が新設を断念」とあります。国家戦略特区諮問会議の議事録(←左記サイトの第25回 平成28年11月9日の項)を閲覧したところ、この中では詳しいことは分かりませんでした。
一方、これに関連して興味深い文書が見つかりました。(http://www.oka-vet.or.jp/281205.pdf) 『「国家戦略特区における追加の規制改革事項について」の決定に伴う告示改正に関する意見募集の周知及び同募集への対応について』と題された、平成28 年11月28日付の日本獣医師会会 長 藏内勇夫氏の名前で出されたものです。宛先は、「地方獣医師会会長 各位」です。
この中で、
ところが、11月9日に開催された第25回国家戦略特区諮問会議において、「国家戦略特区における追加の規制改革事項について」の中で、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするための関係制度の改正を、直ちに行う。」ことが決定されました。
と書かれています。国家戦略特区諮問会議の議事録には直接このようなことは言及されていませんが、“「空白地位」に限り”というと一致します。
この文書には更に、
更に、今回の今治市に係るものと想定される国家戦略特区諮問会議決定を契機として、他の国家戦略特区又は特区以外の地域においても獣医学部の新設が次々と認可されるような事態は、何としてでも阻止しなければなりません。
とも書かれています。
改めて国家戦略特区諮問会議議事録(第25回)を読むと、“「空白地位」に限り”というより、“空白地帯を念頭に置く。”、“新たに特区を指定することは考えていない”という趣旨の発言が見受けられます。テレビ朝日など、一部のメディアは“急に条件を変えて、京産大を閉め出した”という言い方をしていますが、先の発言はちょっとニュアンスが違うのではないでしょうか。
結果は獣医学会の希望通りになっています。
個人的には、こんなに“岩盤規制”が固く、直前(2016年1月)にようやく数十年ぶりに獣医学部新設が許可されたばかりで、それをよく知っている京都府や京都産業大学が2ヵ月後の3月に申請する方が不自然に感じるのですが...(暴言かも知れませんが、“加計学園だけ”が認可されたように見せるためのアリバイ作り?と考えてしまいます。→その後、分かったことですが、京都側が非公式に文科省にお伺いを立てたところ、門前払いされていたことが分かりました。→【加計学園問題】京都産業大学は文科省から事前に門前払いされていた【2016年10月18日ヒアリング議事録】 これを読むと、文科省の事なかれ主義、やる気のなさがよく分かります。)
5分で分かる“真実の”加計学園を巡る経緯
この問題は日本獣医学会の動きと併せて時系列で見ないと正しい経緯が見えてきません。
『【加計学園問題】5分で分かる“真実の”加計学園を巡る経緯』にまとめました。是非こちらの記事もお読み下さい。
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