【ドールハウス工作】 No.337 畳のミニチュアの作り方
今回は、現在連載中のパン屋のミニチュアはちょっとお休みして、畳のミニチュアをご紹介します。丁度今、材料が手に入るので、時期を逃さないように、と。
こんなの↓。
とりあえず仕上げたのは1枚だけですが。
(画像を見て気づきましたが、半畳の畳の向きが90度回転していました。本来は横向きです。)
和室を作るつもりはないのですが、ダイソーでこんなもの↓を見つけてしまったので、畳を作ってみたくなって...。今、店頭にたくさん並んでいます。
一部しか映っていませんが、椅子の上に敷くようない草の座布団で、通常の座布団よりは小さいもの(38×38cm)です。ミニチュア畳はよく、い草のランチョンマットで作るようですが、同じような目の細かいい草だったので、代用できました。
これで、畳6枚と半畳の畳1枚(取ろうと思えばもう半畳取れます)が作れました。(最初の画像に写っている畳と更にもう一枚)
“ドールハウス”にしなくても、3畳くらいと床の間でも組み合わせて、和物のミニチュアを飾るディスプレイコーナーに仕立てても面白いかな、と思ってますが、使い方は追々考えます。
と、この記事を下書きで暖めている間に、他の畳にも縁(へり)を付けて3畳を並べてみました。↓
上の一升瓶は、以前100均で買ったマグネットから取りました。(画像はこちら→『【ドールハウス工作】 No.305 ワインクーラーのミニチュア』)
1/12のスケール的には一升瓶くらいの大きさなので、ネットで適当に探したラベルで日本酒のミニチュアを作ってみました。(コップはロケット鉛筆の消しゴムカバーだった部分。)
なお、い草の座布団は100均クォリティなので、傷があるものも多いようです。この座布団でミニチュア畳を作る時は、傷がなく、い草の太さがなるべく揃っているものを選ぶか、念のため2枚買って、目の揃っている部分を使って下さい。
日本家屋のドールハウスや畳の作り方参考図書
畳、というか、和室の作り方は、下のドールハウス本に詳しく載っています。おすすめは右側の本のほうです。
右側の本は既に絶版ですが、上のように探せば手に入ります。
この本をおすすめする理由は、作例となっている和のドールハウス製作のプロセスが画像と共に全て解説されており、(と言っても、作るのはかなり難しそうですが...)、畳の作り方も詳しいからです。
また、特集で和箪笥の作り方も掲載されています。ブログ主はミニチュアを作り始めた頃、市の図書館でこのシリーズを数冊借りて読みましたが、この本だけは手元に置きたくて買っておいたのがようやく役に立ちました。(なお、この雑誌のシリーズはかなり前に出版されたものなので、作風は今風ではありません。が、読み手次第でアイディアを広げてくれるかも知れません。)
左の本は、既にある程度作れる人向けに、ワンステップ上のレベルを目指すようなコンセプトなので、部分的な説明は詳しいのですが、ステップ毎の説明は不足しています。
ここでは本に書いてあることは詳しくは書けませんが、ブログ主がアレンジした方法や作成する際の注意点をご紹介します。
その前に、ブログ主の覚え書きも兼ねて、和室というか畳の基礎知識を。
畳のサイズについて
畳には色々なサイズ(規格)があるのはご存知だと思います。
- 京間(本間、大間とも。京都を中心に、主として関西/畳の大きさ:6尺3寸×3尺1寸5分…※現代のメートル法に直した数字は後述)
- 江戸間(田舎間とも。関東、東北地方/畳の大きさ:5尺8寸×2尺9寸)
これ以外に、
- 中京間(ちゅうきょうま/江戸間の規格ができたあとに中京地方で広まった。/畳の大きさ:6尺×3尺)
更に、
- 団地サイズ(公団住宅などの狭い室内に合わせた、一般よりも小さい畳・家具などの寸法)
があり、
畳の大きさで並べると、京間>中京間>江戸間>団地サイズ となります。
なお、ここで使っている尺貫法は大工さんの使う曲尺(かねじゃく)で、1尺が30.3cm、布を計るのに使うのは鯨尺(くじらじゃく/1尺は曲尺の1尺2寸5分=約37.9cmに相当)と言います。
京間と江戸間の違い
京間と江戸間の違いについてもう少し詳しく見ると、京間では畳のサイズが決まっていて、それで一部屋のサイズが決まるのに対し、江戸間の場合は柱と柱の間を6尺(1尺=1メートルの33分の10=0.303m)とし、これを1間(いっけん)として部屋の大きさをまず決めるそうです。(下図-①/6尺は181.8=約1.82m)
そのため、江戸間の場合は柱の太さによって部屋のサイズが異なり、それに合わせて畳を作るので、部屋ごとに畳の大きさも異なることになります。つまり、その畳はその部屋専用となり、使い回しができません。しかし、現代では、江戸間の畳のサイズも決まっているようです。
ドールハウスを作る場合、柱は上の画像①のように立つので、床面積としては、畳を敷き詰めた縦横の長さに、角に立つ柱の太さ×2が増えることになります。
柱と柱の間は壁であったり襖や障子になるわけですが、②のように、床には敷居だの畳寄(たたみよせ)だのを付ける必要があります。(洋風のドールハウスならこの辺は適当に作っても気になりませんが、やはり和室だと、こういうのがちゃんとないと違和感を覚えるのでお座なりにできません。)
ですから、和風のドールハウスを作る時は、建築関係のサイトなどで構造を確認しておくといいでしょう。(リンク先は住宅サポート建築研究所さんのサイト)
京間と江戸間の畳の大きさ比較
ここで、京間と江戸間の畳の大きさを上の尺貫法をメートル法に直してみると下記のようになります。(1尺を30.3cmとして電卓で計算した数字/参考にしたサイトに書かれていた数字)
- 京間: 190.89×95.4cm/191.0cm×95.5cm
- 江戸間: 175.74×87.87/176.0cm×88.0cm
これを1/12にすれば、ドールハウスでの大きさが決まります。(できあがりの縦横は2:1の比率になるようにするため、土台にする板は少し長さを短くする必要があります。い草の厚みが加わるからです。→詳細後述)
教本に載っているプロの和風建築の作り方を見ると、当然のことながら、きちんと図面を引いて設計されています。が、ブログ主の場合、部屋にピッタリ合うように畳を作るのは難しいので、ドールハウスにするならば、先に畳を作って、それが収まるように全体の大きさを決めることにします。
今回は江戸間のサイズに近づけて作りました。
このサイズだと、四畳半なら22.5cm四方、6畳なら22.5×30cmくらい(A4サイズのカッティングボードとほぼ同じ大きさ)の広さの床になります。
畳の作り方アドバイス
- ここでは、ドールハウス本に倣って5mm厚バルサを使いましたが、スチレンボードでもいいかと思います。(土台のバルサのサイズ:73×145mm/一畳)
- 座布団のい草は、周囲のパイピング(周囲を包んでいるバイアス布)を先に切ってしまうとい草がほつれてしまうので、布を付けたまま裏の布と内部のスポンジを取り、畳の土台サイズにカットしたバルサを木工用ボンドで貼ってから切り取りました。
- 畳の長い方の辺は、バルサに沿ってカットし、短い方の辺は少し長めに残してバルサの断面を覆うようにします。(そのため、できあがりの縦方向は土台のバルサより少し長くなるので注意。)
- 畳のヘリは、バイアステープのような感じで折りたたんで糊付けしますが、裏打ちとして、細長く切ったアイロン接着芯を貼りました。アイロン接着芯は、100円ショップにも売っています。両面接着芯(両面に糊が付いているもの)と片面のものがありますが、片面のものを使って下さい。
角は切り込みを入れて包みますが、厚みが出ないよう、折り重ねる部分は接着芯を剥がして、なるべく薄くします。
家の畳の縁の幅を計ったところ約3cmだったので、ここでは3mmほどの幅になるように貼りました。調べたら、一般には1寸(3.03cm)だそうです。
- 最後に上からアイロンを押し当てて、畳や縁の表面を押しつぶしておきます。
和のドールハウス素材
ブログ主の気になるものをピックアップ。
檜の丸ちゃぶ台 :コバーニ 未塗装キット 1/12スケール WZ-009 |
その他、『和の造作』シリーズはこちら。
次回以降は再びパン屋のドールハウスの続きをご紹介します。
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>ななしさん
わざわざコメントを残して下さり、ありがとうございました。
投稿: ブログ管理者 | 2022/08/20 06:54
ドールハウス用の畳の作り方を探していたので大変助かりました。
おすすめされていた本も購入してみます。
昨今はドールハウスやミニチュアのハウツー本はたくさんありますが、豊富過ぎてどれが良いか悩むこともあります。
本当にありがとうございました。
投稿: ななし | 2022/07/22 22:12