【ブログ主覚書】2017年WBC プールDでメキシコが敗退した理由は複雑なルールにあらず
ブログ主の覚え書きとしてメモしておきます。
今回の件で、メキシコの敗退は“複雑なルールのため”というような報道がされていますが、それはちょっと違う、という話です。
メキシコで行われたプールDのリーグ戦が終了後、プエルトリコは3勝で勝ち抜け、残りのメキシコ、イタリア、ベネズエラが1勝2敗で並び、この3チームから、規定によってランク付けされた上位2チームがプレーオフを戦い、勝ち抜けのチームが決まることになりました。
(上の表は既に順位が決定したあとのもの)
今回問題になったのは「失点“率”」の計算方法。
野球の場合は、コールドや9回表で試合が終了したり、サヨナラで回の途中でゲームが終わることがあるので、単純な「得失点差」では不公平になるので、「率」を使うことは不思議ではありません。
そこで問題になるのは、「失点率」を計算するための分母(イニング数)をどう数えるか。
リーグ最終戦のメキシコ×ベネズエラの試合中でも、微妙な数字の争いになりそうだと、Jスポの実況が話題にしていたのですが、試合直後にWBC公式が発表したのはメキシコがベネズエラを失点率で上回ったという情報。
- イタリア 20失点/19回 失点率1.053
- メキシコ 19失点/18回 失点率1.056
- ベネズエラ 21失点/19回 失点率1.105
しかし、その後、
- イタリア 20失点/19回 失点率1.053
- ベネズエラ 21失点/19回 失点率1.105
- メキシコ 19失点/17回 失点率1.118
と訂正され、メキシコはこの3チームの中では3位となり、プレーオフに進めませんでした。
この原因はレギュレーションの曖昧さ。
Step 1: The tied Teams shall be ranked in the standings for that Round according to fewest runs allowed divided by the number of innings (including partial innings) played in defense in the games in that Round between the Teams tied.
と書かれているだけです。つまり、分母のイニング数は、“(回の途中で途切れたイニング-ex. ワンナウト後にサヨナラでその回を終了していない-を含んだ)守備をした イニング数”という様々な解釈が可能な表現だったためです。
メキシコはイタリアとの試合で、9回表まで9-5でリードしていたにもかかわらず、9回裏にワンナウトも取れず に5失点し、9-10で逆転負けしました。
このイニングを含むかどうかの解釈が明示されていなかったのが原因で、公式も発表を覆したことから、運営すら周知されていなかったわけですが、メキシコの守備回(イニング)を数えるのに、ワンナウトも取れなかったこの9回裏を(野球では0/3と表記、1アウトや2アウトを1/3、2/3と表記します。)をどうカウントするか、というところが曖昧だったのです。
結局8回0/3は8イニングとカウントするというのが公式レギュレーションだったわけですが、ここでレギュレーションの英文を見ると、“守備をしたイニング”としか書いておらず、アウトは取れなかったが、メキシコは9回裏に守備についたことは事実です。これをどう扱うかが周知されていなかったことが原因です。
計算自体は(得失点差のような単純なものではないので面倒ではあっても)簡単なので、「複雑なルールのため」というのとは違うと思います。
念のために書いておくと、1/3や2/3、つまりワンナウトかツーアウトまで来ていれば、中途半端なイニング( partial innings )であっても、その回は1イニングとカウントされます。つまり、メキシコはイタリア戦で逆転サヨナラ負けをするにしても一つでもアウトを取っていれば失点率が良化しベネズエラを上回れたわけです。
また、リーグ最終戦の9回表にメキシコがベネズエラを11-9で2点リードしていて、ランナーが出たときに、(ベネズエラの失点率を悪化させるために)あと1点をなんとしてでも取る、という攻撃をしたかも知れません。9回表は結局送りバントをすることなく淡泊な攻撃で終了してしまいました。
ちなみに、番組中にJスポーツのスタッフが、この失点率を計算するときに延長タイブレーク(2人の走者を置いたところで始めるルール)はどう扱うのか、ということをWBC運営に確認したところ、失点率の計算に含まれる、との回答だったそうです。
このように、様々な解釈が成り立つレギュレーションを、具体的な例で補足説明もしなかった運営の落ち度です。
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