【和菓子に使う粉の種類】上新粉、もち粉、白玉粉等の違い/生菓子・半生菓子・乾(干)菓子とは/ミニチュア花びら餅
まもなくお正月。
正月の和菓子として代表的な花びら餅のミニチュアを粘土で作ってみました。
初釜(正月最初に行う茶事)には欠かせない和菓子です。(他のミニチュアと合わせた作品はこちら)
ミニチュアはもう少し小物を加えて「作品」の形にしようと思っていますが、とりあえず単品で。
もとは宮中の正月行事に使う御焼餅(〔女房詞-にょうぼうことば〕おやきかちん)で、白く円い餅に菱形の赤い餅をはさみ、その中に白味噌のついたゴボウの小片を入れて包み、半円形として焼いたものだそうですが、これが形を変えて現在の和菓子の形になったのは明治期で、皮には求肥(ぎゅうひ)が使われています。
ブログ主はミニチュアフードを作る時にはまず作り方を調べるのですが、大前提として何でできているか、つまり材料は重要な情報です。
例えば、花びら餅に使われる求肥(ぎゅうひ)。
求肥と言えば、あんみつに入っているピンクとかグリーンの、あってもなくてもいいような(すみません... あれ、あんまり好きじゃないもので...)お餅のようなものというのは知っていますが、この原料は?と聞かれたらよく分かりません。
最近、和菓子に興味を持っていて本を読んだり、(例によって)新聞の切り抜きなどを整理しているので、基礎知識みたいなものを覚え書きとしてまとめておこうと思います。
和菓子に使う粉の違い-上新粉、もち粉、白玉粉等はどう違う?-
洋菓子は小麦粉以外にもそば粉やアーモンドパウダーとか様々な「粉」を使いますが、これらはそもそも原料が異なります。
でも、和菓子で使われる主な「粉」の原料は基本的に「米」。
米と一口に言っても、「うるち米」(一般的にご飯として食べる米)と「もち米」に別れ、更に、製法、つまり、加熱してから粉にするか、加熱しないで粉にするか、更に粉にする工程の違いによって様々な「粉」になり、
新粉(しんこ/上質なものは上新粉※)、もち粉(もちこ)、白玉粉(、道明寺粉(どうみょうじこ)等と名称が異なります。
※「(上)新粉」の「しんこ」は本来下の漢字が使われるのですが、環境依存文字で、一般的には「新粉」の文字が当てられます。
意味は「こまごまとした飯粒」。造り(右側)の「参」のような部分は「まぜる」という意味。
・うるち米(白米)を原料とするもの(加熱しない)
【上新粉】 うるち米を日光に乾かし、臼でひいて粉にしたもの。
- 主な和菓子: 団子、柏餅、外郎(ういろう)…葛粉も加える、素甘(すあま)
【上用粉】(じょうようこ) 上新粉よりさらに粒子が細かい。
- 上用(薯蕷)饅頭…祝い事につかわれる紅白饅頭等。薯蕷(しょよ)=山芋をすりおろしたものを加えて作る。本来は山芋の薯蕷から「しょよまんじゅう」だが、「じょうよまんじゅう」、「じょうようまんじゅう」とも呼ばれる。
ちなみに、栗饅頭(下図/右)のような硬い皮は小麦粉で作られる。
・もち米を原料とするもの(加熱しない)
【白玉粉】 もち米を水洗いして乾燥させてから粉にしたものが「もち粉」で、白玉粉は水に浸したもち米を臼で挽き、多量の水を加えて攪拌沈殿をくり返して精製。この沈殿物を脱水した後日干しして破砕し、粉にする。この作業は昔は厳寒の季節に清流で行ったので「寒ざらし粉」と呼ばれた。
もち米そのものに比べて、タンパク質や脂質、繊維質が少なく、デンプンが多いのでなめらかで味が淡泊になっている。
- 主な和菓子: 求肥(もち粉も使われる※)、白玉団子、大福餅
※求肥(ぎゅうひ/求肥飴のこと)…白玉粉を蒸し、あるいは水とあわせて熱を加え、これに白砂糖と水飴とを加えて練り固めた、柔軟で弾力ある菓子。求肥糖。求肥。牛皮(唐から渡った時、「牛皮」という文字を忌んで「求肥」と改めたという)。
・もち米を原料とするもの(加熱する)
【道明寺粉】 もち米を蒸した上、熱風で乾燥させ、細粉、または粗挽きにした粉。元は道明寺(大阪府藤井寺市道明寺)で考案された道明寺干飯(ほしい/乾燥して貯えておく飯。水に浸せば、すぐに食べられる。)を挽いた粉。
- 主な和菓子: 桜餅(京風-下図/左、関東では小麦粉・白玉粉を練って薄く焼いた皮で餡を包む-下図/右)、椿餅
【寒梅粉、みじん粉】 もち米を蒸したのち餅生地とし、それを焼いて乾燥させてから粉末としたもの。道明寺粉を砕くと「みじん粉」、もっと砕くと「極みじん粉」、炒って焦がすと「焦がしみじん粉」、白焼きにして砕くと「焼きみじん粉」、そして「焼きみじん粉」を細かくしたものが「寒梅粉(かんばいこ)」と呼ばれる。「寒梅粉」は、練ると糊のようになり、人形創りや工芸品の接着剤としても使われる。
うるち米を用いたものは「並寒梅粉」とよばれ、下級の菓子材料となる。
- 主な和菓子: 打ち物/型に打ち込んで作った落雁(ラクガン)などの干菓子。例えば生砂糖(きざと、きざとう)と呼ばれるものは、寒梅粉に砂糖と蜜を合わせて練り、抜き型で抜いたもので、「松葉」や「銀杏(イチョウ)」のような薄く繊細なものが作れる。
・米以外の粉
【葛粉】 葛の根からとったデンプンで、冬季根を掘り砕き、水を加えて沈殿させ、これを何度かくり返して製した粉。食用。奈良県吉野産の吉野葛は有名。(現在、葛の生産は少ないので、ジャガイモやサツマイモ等から取ったものを代用することも多い)
- 主な和菓子: 葛切り、葛湯、葛饅頭・水饅頭(餡をゼリーのような半透明の葛で包んだもの)、葛餅、蕨餅(わらびもち/岡太夫〔おかたゆう〕の異称も←狂言「岡太夫」より)
和菓子の分類-生菓子、半生菓子、干菓子(乾菓子)
【生菓子】 できあがりの状態で水分を30~40%以上含むお菓子のこと。
- 主な和菓子: 茶席で主菓子(おもがし)として使われる練り切りやこなし、柏餅、草餅、水羊羹、団子
【半生菓子】 生菓子と干菓子の中間に位置する菓子で、水分が10%以上30%未満のお菓子のこと。
- 主な和菓子: 最中
【乾菓子】 水分が10%以下のもの
- 主な和菓子: 落雁、おこし、煎餅、ボーロ
【参考】
- 『和菓子のほん
』(福音館書店)
- 『上新粉、白玉粉、もち粉はどう違う?』(NHK出版)
- 『和菓子ミュージアム』(甘春堂)
- 『【素材のお話】上新粉・上用粉・餅粉・白玉粉の違いとは!?』(御菓子司 せきね)
- 『とらやを巡る小さなお話』虎屋
- 日経interesse(2011年10月 No.186/監修:虎屋)
- 京町家net『京の菓子暦(十一月)』
- その他、各種辞書、百科事典
※この記事で使用している画像はブログ主がupしたもの以外はWikimediaから直接表示しています。
ミニチュアの花びら餅については、回をあらためて記事にします。
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