今年(2016年)4月に起きた熊本地震では、熊本県(県庁)には続々と物資が届いたにもかかわらず様々な要因で避難所に物資が届かないという事態に陥りました。その混乱の中、指定避難所となっている龍田小校長や龍田中学校のような支援物資の取り込み詐欺のような事件も起きましたが、これは論外としても、指定緊急避難場所(一時避難場所)に指定されている場所に非常用の物資が備蓄されていなかったようです。
そこで、川崎市ではどうなっているのか、自力で調べようとしましたが、現状が分かる資料が公開されていません(※)でした。
※質問して分かったのですが、平成25年〔2013年〕に策定された『川崎市備蓄計画』(PDF)が最新版であり、既に川崎区に関しては指定の備蓄倉庫33箇所全てに物資が配備されていることが分かりました。
実際にブログ主はこの『川崎市備蓄計画』に辿り着いてはいたのですが、“計画”という表現なので、実際の配備状況が分からず、川崎市総務企画局危機管理室に問い合わせたものです。
この記事はブログ主が関心を持って調べたことなどの一時的な覚え書きで、加筆修正する可能性があります。場合によっては他の記事に集約する可能性があります。(初稿:2016/05/11/最終更新日:----/--/--)
前述の『川崎市備蓄計画』は現在下記のページにて公開されています。
記事タイトル: 「川崎市備蓄計画の改定について」(2013年4月24日)
http://www.city.kawasaki.jp/kurashi/category/15-3-24-3-2-0-0-0-0-0.html
(川崎市のサイトはよくリンク切れを起こすので注意。リンク先のページも閲覧したときに最新版とは限らないので、なるべく上位のページから探して下さい。)
内容は、『策定の基本的な考え方について』(←目次から拾ったタイトル、以下同)にて“地震により家屋が全半壊または焼失によって避難を余儀なくされる人数を区毎に想定し、『公的備蓄物資整備(購入)計画』にて、必要な物資の量を算出、配備計画を解説しています。
それ以外に、『家庭内備蓄について』、『企業・事業者等における備蓄について』、『帰宅困難者用備蓄について』、『児童生徒用備蓄について』等の計画が公開されています。
個人(家庭)で行うべき備蓄のガイドは目を通しておくとよいかと思います。なお、以前のブログ記事『【ブログ主覚書】川崎(神奈川県)の活断層』に、『津波ハザードマップ』からスキャンした「非常持ち出し品リスト」を掲載してあるので参考にして下さい。
ここでは、大規模災害の際に避難所となる場所の備蓄状況(計画)に注目して、いくつか書き留めておくことにします。(2016/05/11現在)
上述のように、区毎に想定される避難者の人数から必要な物資を算出(図-1)し、更にその物資を備蓄倉庫(集中備蓄倉庫と分散備蓄倉庫-図-2)にどのように配備するかということが述べられています。詳しくは後述しますが、分散備蓄倉庫は学校が主なので、指定避難所(図-3)を兼ねているようです。
図-1: 各区への配分計画数(画像が大きいので右クリックで別ウィンドウまたは別タブで開いて下さい)
図-2: 備蓄倉庫の設置イメージ
備蓄倉庫の区分については、下記のように定義されていますが、川崎区の集中備蓄倉庫は大師公園備蓄倉庫(大師公園1)、川崎区備蓄倉庫(大島1-25-10/川崎区道路公園センター内) の2箇所で、分散備蓄倉庫とは、主に学校です。簡単に言ってしまうと2段構えの備蓄を行っています。
【備蓄倉庫の区分】
- 分散備蓄倉庫とは、災害時、公的備蓄物資交付対象者に対し、すみやかに必要な物資が交付できるよう、地域防災拠点(市立中学校)や各避難所(市立小学校等)に整備する倉庫(一時的余裕教室も含む)
- 集中備蓄倉庫とは、避難者の多い避難所へ物資の補充を図るため、公的備蓄物資を備蓄する倉庫。また、救援物資などの一時保管場所として使用する倉庫
図-3: 指定緊急避難場所(一部転載)
ブログ主がメールで質問した回答にあった33箇所とは備蓄倉庫のことで、既に“川崎区では大師公園にある「集中備蓄倉庫」等に食料・飲料水、生活必需品、資器材、トイレ等を配備”されているそうです。
また、備蓄例を具体的に教えて頂いたのですが、その中の一つ、南大師中学校を例にすると、“食料(アルファ化米)1650食、水(500ml)960本、おむつなどの生活用品、資器材等を備蓄”しているとのことです。(ブログ主註:「アルファ化米」とはパックになっていて水やお湯で戻せるご飯のこと)
ただし、実際に備蓄されている物資の量を見ると、一人当たりの量はかなり少ないので、個人での備蓄および避難所への持参は必須です。
自宅で災害に遭った場合、大師地区で言うと、まず、広域避難所として大師公園が思い浮かぶと思いますが、屋内の避難場所はどこが該当するのか?と思って調べてみたら、『ガイドマップかわさき』(図-4)という地図が見つかりました。
これは表示を切り替えることで、「避難所・防災施設」だけでなく、「洪水ハザードマップ」や「津波ハザードマップ」も見ることができますが、「避難所所轄区域」というのが、黄色い点線で示されています。(ハザードマップ/hazard mapとは災害予測地図のこと)
図-4: ガイドマップかわさき

おおよそは校区によって区切られているようです。
ところで、この地図に表示されている地図記号のようなマーク(ピクトグラム)に興味を持ったので調べてみたところ、国土地理院がJIS規格のマークを元に広く意見を求めて決定したそうです。(図-5) また、部品化されたマークを組み合わせることにより、複合的な意味を表せるようになっているようです。(図-6)
図-5:

図-6:

図-4のガイドマップかわさきの大師小学校と南大師中学校に緑色のマークが見えますが、これは、“津波”の際の“建物”の避難所らしいことが分かります。
また、津波を表す波のマークが右側にありますが、これは津波が襲ってくる向きを表しているそうです。右と書きましたが、海がある東側から波が来ることを意味しています。

上は、ネットで見つけた津波避難施設のピクトグラムですが、西から襲ってくる場合は中央の図のようになります。右側は多分建物ではなく単なる高台とか敷地を表しているのだと思います。
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