【ドールハウス工作】 No.243 本格的な製本のミニチュアブックを作ってみよう No.2
前回の続きです。ここでは前回作った本文を使って下の画像のようなミニチュアブックを作成します。
若干の省略はしていますが、「豆本」と呼んでも良いくらいには丁寧に装丁しています。
以下、作り方を説明します。
本の各部の名称
これ以降の説明に必要になるので、まずは本の各部の名称を確認します。
ミニチュアブックの画像と下の図(図-1)を併せて参照して下さい。(特に★印の用語はこの後何度か出てきますから理解しておいて下さい。)
今回は、本文(ページを閉じたもの)に「しおり」と「花ぎれ」、「見返し」を付け、ボール紙を芯にした表紙(表紙、背、裏表紙)をつけます。
「見返し」とは、表・裏の表紙と本文との間に挟む見開き2ページ大の紙で、半分(1ページ分)を表紙の裏に貼りつけ、残り半分は遊び紙とします。
図-1の「遊び紙」は今回はつけません。(遊び紙:巻頭・巻末の見返し紙と本文との間に付ける白紙で、体裁を整えるために入れるもの)
材料・道具
【材料】
(図-2)
画像に写っているもの以外にしおり用の紐、表紙の芯にするためのボール紙を用意します。(ボール紙がなければ、プリンター用紙の保護用に入っているしっかりした厚紙でもいいかと思います。)
今回は表紙に布を使っていますが、紙でも構いません。
花ぎれや見返しに使う紙は画用紙くらい厚手の少ししっかりした紙が良いでしょう。ちなみに花ぎれ用の赤い紙は梅干しの瓶の蓋にかけてあったもの、見返しの黄色い紙は封筒です。皺(しぼ)があって良い雰囲気です。
【道具】
(図-3)
画像に写っているもの以外に木工用ボンドを使用します。
クリップは本文を閉じるときに抑えるために使います。目玉クリップのほうがダブルクリップより跡がつきにくいのでお薦めですが、のり付け後しばらく置いておくのでいずれにしても紙を挟んだ方がいいかも知れません。大きめのものを使って下さい。
鉄筆は本文を折る際、折れ線をつけるために使います。画像の 鉄筆 (VANCO社製)
は針先が細く、且つきちんと丸まっているのでシャープな折れ線をつけることができます。
仕上がりの美しさはいかにこの本文のページが揃っているかに関わってくるので、丁寧に折って下さい。
ボンド(木工用ボンド)を水で緩めるのに小皿があると便利です。緩めると言っても筆で塗りやすくする程度なので、筆を湿らせて調節しても構いません。その場合はスポイトは不要です。
本文ののり付け
上の画像はWordのスクリーンショットですが、前回作ったExcelの原稿をA4版のマット紙に印刷したものだと思って下さい。
ここでは3ブロック(24ページ)を使いますが、1ブロックずつ丁寧に切り取り、折れ線に鉄筆で線をつけて奇数ページと偶数ページの間を山折りにしていきます。
3つのブロックを揃えて下図のようにクリップで抑えてヤスリで削ってボンドが密着しやすくし、のり付けをします。ボンドは少し水で緩めて筆で均一に塗って下さい。
(図-5)
この状態でボンドが完全に乾くまで放置します。
ブログ主は高校の美術の授業で習った製本方法を思い出しながら、ネットで用語などを確認しつつ、この記事を書いていますが、このように糸や針金(線)を使わない綴じ方を「無線綴じ」と呼ぶのだそうです。また、背に切れ込みを入れて糊を浸透しやすくする綴じ方は「あじろ綴じ」と言うそうです。ここでは、背のデコボコをならして平らにするような感じで全体に軽くヤスリを掛けています。
本文にしおり、花ぎれ、見返しをつける
花ぎれ(花布/ヘッドバン)とは、装飾のために本文の背の上下に貼る布のことです。ここでは本文の補強も兼ねて、本文の背全体に装飾用の紙を貼り付けます。(通常は寒冷紗〔かんれいしゃ〕という目の粗いガーゼのような布で補強しますが、ここではこの簡易な花ぎれで寒冷紗も兼ねます。)
花ぎれは本来布(織物)を使うので、背の幅に合うリボンで代用してもいいかと思います。
着物の伊達襟やネクタイのような感じで、「背」より上下をやや長くして見えるようにし、アクセントにします。
(図-6)
しおりはあとでカットするので、少し長めに残しておきます。
上の図では花ぎれは長方形で表現していますが、背の高さより10mmくらい長くし、上下を4mmほど折って厚みを出します。
次に見返し(見開き2ページ分のサイズを半分に折ったもの)を本文の1ページ目と最終ページに貼ります。画像のように、本文に1mmほどの幅でボンドをつけて貼ります。(ボンドはつけすぎないように爪楊枝で伸ばすとよいと思います。)
表紙を作成する
表紙は下図-7の要領で厚紙を布または紙で包みます。この時につけるボンドも原液のままより少し水で薄めて筆で塗った方が薄く均一に塗れます。
【厚紙のサイズの決め方】
あくまでも今回作成するような小さな本の場合ですが、完成した表紙は本文より上下1mmくらい大きくなるサイズにします。
(図-8)
- 高さは本文のページの高さ(H)+2mm(上下1mm)。
- 背の幅は本文の厚み(D)+表紙(+裏表紙)の厚さ分(1mm程度)広くします。
- 表紙用の厚紙の幅は本文の幅(W)と同じにします。
幅のサイズの考え方は、「溝」を作るために背と表紙の間を2~3mmくらい空けますが、背表紙と表紙を直角に折り曲げのに使われてしまうのと、ピンと張らずに溝にするのとで1mm程度の余裕になります。(図-10参照)表紙の厚紙を本文と同じ幅にすると、この分で本文より1mmくらい大きくなります。
但し、芯にする厚紙の厚さや表紙に貼る布の厚さで微妙に変わってくるかとは思います。
【参考】一般的なサイズの表紙のサイズ:『上製本用表紙の作り方』(株式会社栄光)
表紙と本文を接着する
(図-9)
見返しの裏(表紙と接する側)にボンドをつけ、表紙に貼りますが、その時、背の厚紙の端と本文の角を合わせると見た目がいいそうです。(図-8を参照)
(図-10)
真上から見て左の形を目指して下さい。
ボンドが完全に乾くまでクリップで挟んでおき、しおりを適度な長さでカットして完成です。
お疲れ様でした!
次回、Excelを使ったカバーの作り方をご紹介します。
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