【Excel2013】業務マニュアル・操作マニュアル作成のコツ (Ⅰ)
この記事の目的
以前の記事『Excelでマニュアルを作るときの裏技』は本来意図したものと異なり、Excelで作成するマニュアルの雛形やテンプレートを求めて検索されるようなので、新たな記事を作成しました。
但し、テンプレートは自分で作った方が使いやすく、また、作り方(シートの設定)は、ごく簡単なExcelのテクニックでできるものです。なるべく Excelの初心者でも分かりやすいように記述し、単純な操作方法の説明だけでなく、マニュアルを作る際に注意する点なども解説していきたいと思っていま す。
このシリーズではシートの設定方法とマニュアル作成に役立つテクニックを2回(Ⅰ~Ⅱ)に分けてご紹介する予定で、今回(Ⅰ)は基本の作業、 次回(Ⅱ)にて落ち穂拾いのように細かいテクニックを説明する予定です。(詳細を次回以降説明する場合は、文中に〔→Ⅱ〕と記します。)
【追記】業務マニュアル・操作マニュアル作成のコツ (Ⅲ) 仕掛かり中
(この記事は、加筆修正する可能性があります。)
サンプル
ここで提案・作成する雛形は下記のようなシンプルなものです。
左は実際に内容(適当です)を入力して印刷プレビューを行ったものです。(PDFに変換したものはこちら→sample_manual.pdf/98.4KB )
PDFファイルはフリーソフトで出力したもので、一部の文字や余白(ヘッダーやフッター)に設定した内容が欠落していること、ご了承下さい。
作業の概略
まず、「Excelの基礎」としてこれ以降の説明に最低限必要な用語を簡単に説明してから、下記の順番で説明します。
- セルを方眼紙のようなマス目状に変更
- シートのページ設定 (ページの調整)
- 章や項目番号用のセルの書式の変更
- 説明文の入力エリア(セル)の作成
- 必要であれば、タイトル行の作成
Excelの基礎:画面各部の名称
これ以降の説明に最低限必要な用語や機能のみ示します。
ここでは、
- 新規文書を開いたときは「シート」と呼ばれる格子状の白紙ページが一つ表示される。(以前のバージョンのExcelでは3つのシートが表示されていた。)
- 格子の一つ一つを「セル」と呼ぶ。(特定のセルを引用するときは「列・行」の値から、「A1セル」のように呼ぶ。)
- 「シート」の集まりを「ブック」という。
ということを理解して下さい。
Excelの基礎:クイックアクセスツールバー
なお、操作を行うメニューは「タブ」を開くことによって、帯状(「リボン」と呼ぶ)に表示されます。よく使うボタンはいちいちリボンを開かなくても良いよう、「クイックアクセスツールバー」と呼ばれるエリアに登録しておくと便利です。
クイックアクセスツールバーに登録したいボタンの上で右クリック→(右クリックが表示される)→「クイックアクセスツールバーに追加」。
1.セルを方眼紙のようなマス目状に変更
方眼にすることは必ずしも必要ではありませんが、方眼にしておくと、複数のセルを結合して、自由に表が作れます。
また、章を立てるときに、項番を字下げするのにも便利です。
下図のようにすると、シートの全ての列をまとめて同じ幅に変更できます。
ここでは幅「2.0」にしています。
2.シートのページ設定
次に、シート全体の「余白」などの「ページ設定」を行うために、「印刷プレビューと印刷」でプレビューしてみます。(この時、実際に使う画像を貼り付けると分かりやすい。)
ここでは分かりやすいように画像を貼り付けてから印刷プレビューを行いました。画像が大きすぎて、横に2ページに分かれてしまっています。
これは、Excelがまず等倍(100%)で印刷しようとするからで、入力されたものを全て印刷しようとすると、2ページに分けるしかないからです。
これを「横を1ページに収める」ように設定すると、画像が納まるように、全体を縮小してくれます。また、シート全体を固定値で縮小(ex. 85%など)することもできます。〔→Ⅱ〕
個人的には等倍だとやや文字が大きすぎる(デフォルトは11ポイント)なので、85%くらいが好きなのですが、実際に文字や画像を挿入して確認してから検討して下さい。
今回は、等倍のまま作業します。
左側に表示されているメニューでは、シート全体の用紙サイズ(A4とか)、余白、倍率(拡大・縮小率)などが変更できます。
余白を調整するときは、「標準余白」の右側の▼をクリックすることで、「標準、広い、狭い」の他、「ユーザ設定の余白」で好みの設定にできます。一度設定すると、「最後に使用したユーザー設定」が登録されます。(下図)
印刷プレビューからシートの編集画面に戻ると、ページ区切りが破線で表示されます。(画像は2ページにまたがっています。)ここで、画像をページの幅に納まるよう縮小してみます。(下図は既に画像を縮小した後)
画像をクリックして選択後、右クリックで表示されるメニューから「図の書式設定」を選択します。
「図の書式設定」メニューが右側に表示されるので、「サイズとプロパティ」で、破線の左側に納まるよう縮小します。(「縦横比を固定する」にチェックが入っているので、「高さの調整」、「幅の調整」のいずれかの値を小さくすればOKです。)
この作業を通じて、画像の大きさが適切かどうか判断してして下さい。(縮小した結果小さすぎて画像の細部がつぶれてしまうようなら、画像をトリミングするとか、そういうことです。)
3.章や項目番号用のセルの書式の変更
今回の例では「A」~「C」の3列を項目番号に使うことにしています。
少し細かいテクニックになりますが、ここでこの3列の書式を「文字列」に変更をしておきます。
これは、項目番号として「1」とか「1-1」などと入力すると、数字と判断されて、右詰めになってしまったり、「1-1」が「1月1日」などと表示されてしまうのを防ぐためです。
下図のように、3列を選択し、まとめて「セルの書式設定」を行います。
3列を選択した状態で、右クリック→メニューから「セルの書式設定」を選択し、「表示形式」タブの分類を「文字列」に変更し[OK]で設定を保存します。(下図)
文字列に設定したセルに数字を入力するとウォーニング(=警告)が表示されることがあります。印刷には表示されませんが煩わしいので、修正する方法を説明します。(→Ⅱ)
4.説明文の入力エリア(セル)の作成
4-1 セルとテキストボックス
ここでは説明文を入力するために、セルを結合する方法を説明しますが、その前に、文字を入力するには、下記の2種類の方法があることを覚えておいて下さい。
- セルに直接入力
- テキストボックスに入力
画像の上に重ねるように文字を入力する場合はテキストボックスを使いますが、“地の文”の部分はセルに入力する方法をおすすめします。なぜなら、後からマニュアルの中の文字列を検索したり置換したりするときなどに、「文字列の検索」→「置換」を使いますが、テキストボックスの中の文字は検索の対象にならないからです。
4-2 結合セル
セルを結合しなくても、右側に何も入力されていなければ、セルをはみ出して文字を入力しても表示されます。見出しのように短い場合は、結合する必要はありません。
このように1行だけならいいのですが、複数行に渡る場合、改行が面倒です。セルを結合して一つの大きなセルにしておくと、同一セル内で自動的に改行されます。
4-3 セルの結合方法
セルの結合は結合したいセルを全てドラッグで選択し、右クリックメニューから「セルを結合して中央揃え」を選択します。(下図)
これでは、文字が中央揃えになってしまうので、結合されたセルの上で右クリックし、メニューから「セルの書式設定」を選び、文字の配置の横位置を「標準」、縦位置を「上詰め」にします。
4-4 セル内での改行
セル内で改行する場合は、下図のように改行したい位置でALTキーを押しながらEnterキーを押します。
但し、セル内で改行すると入力した内容を変更するときにやや面倒なので、改行する場合は別の結合セルにしたほうがいいかも知れません。
【注意】これはExcelの昔からの不具合ですが、画面で見たものと印刷結果が異なることがあります。画面ではセルやテキストボックスに文字が全て納まっているように見えても、印刷するとはみ出ている、というか、納まりきらなくて文字が欠けてしまうことがよくあります。
下図-上は編集画面上で見たところ、下は「印刷プレビューと印刷」で見たところです。
1行目の末尾に注目して下さい。上は「を選択)」で終わっていますが、下は「行全体を」までで終わっています。Excelは、「画面上では見えているのに、印刷したらはみ出している」というのは当たり前だと思って下さい。特にテキストボックスは顕著です
つまり、ここでは4行を一つのセルにしていますが、場合によっては4行では納まらず、5行目が消えて印刷されてしまうことがあります。必ず、「印刷プレビューと印刷」で確認するか、印刷してチェックします。
5.タイトル行の作成
目標の雛形を再掲します。必要であれば、上に3~4行ほど挿入してタイトル行を作成します。幅いっぱいにセルを結合して、文字のサイズを大きくしただけです。
今回はこれで終わりです。次回『【Excel2013】業務マニュアル・操作マニュアル作成のコツ (Ⅱ)』へ続きます。
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