公開: 2014/09/12 13:59 最終更新: 2019/02/02 10:35
- このエントリーのタイトルは当初「【ブログ主覚書】朝日「慰安婦」報道の闇解明を!」でしたが改題しました。
- この記事は当初2014/09/12の報道ステーションを視聴して書いたものですが、その後知った事実や目にした資料をまとめておくため、随時加筆修正していくものとします。
- 朝日新聞の過去の慰安婦報道の経緯については後半で時系列にまとめています。
- 朝日新聞が2014年に過去の慰安婦報道記事を訂正した時の記事はこちらのエントリー後半に貼ってあります。
池上彰氏が執筆するコラム(『新聞ななめ読み』)の掲載拒否で話題になった一連の慰安婦問題は、そもそも朝日新聞が8月5日朝刊で、過去の誤った報道を訂正する記事を突然掲載したことに端を発している。(後日掲載された池上彰氏の寄稿はこちら)
その後、他のメディアでもこれを取り上げていたが、テレビ朝日系列の報道番組『報道ステーション』では一切とりあげず、昨日(9月11日)初めて、番組冒頭で、その“検証”を行い、“読者と関係者”に対して謝罪の言葉を述べていた。
しかし、“検証”は期待したものではなく、これまで通り、慰安婦問題の原点とも言える吉田清治氏の証言、いわゆる「吉田証言」(※1)が虚偽であることを説明した後、その後の政府の対応(「河野談話」(1998年8月4日)などを取り上げるだけで、最後は慰安婦という女性の人権問題に一般化して、「このような事実があったことは確かなので...」と、論点をすり替えて(※2)締めていた。
知りたいのは慰安婦問題の表面的な経緯ではなく、「朝日新聞の何がこれほどまでに、日本の国益を損なうような活動をさせるのか?」ということである。日本の政府の“御用新聞”である必要はないが、なぜ、韓国、しかも一部の団体の利益になるようなことを進んで行うのか?
日本人として、単純に疑問に思う。
1991年8月11日に朝日新聞にスクープとして元慰安婦の金学順(キム・ハクスン)氏の証言を被害者の生の声として掲載(大阪本社版、東京本社版はほぼ同じ内容で翌12日掲載)し、これが日本人の多くに、初めて「慰安婦」という存在を知らしめたと言って良い。
それをスクープした記者(植村隆記者)の妻は、訴訟の原告団幹部・梁順任氏(※3)の娘であるが、そのような利害関係のある人物が社内にいることに驚く。
また、1992年1月11日に、広義としては日本軍の管理下に慰安所が置かれていたという周知の事実を、16日の宮沢首相訪韓の直前にスクープとして大々的に報道する目的なんなのだろう。(但し、朝日新聞は報道と訪韓との関連性は否定)
これらの真意は闇に包まれたままだ。
朝日新聞は、誤報の影響について、同社の第三者機関「報道と人権委員会」に審理を申し立て、今後、検証を行っていくと言う。
果たして、“吉田証言に騙された”というスタンスではなく、“なぜ”、“誰のために”、あるいは“どんな力が働いて”、積極的に日本国民の利益を損ねてきたのか、回答が出るのであろうか。他のメディア(※4)の報道とともに、今後も注視していきたい。
※1 『吉田証言』: 元「山口県労務報告会下関支部動員部長」を名乗る吉田清治氏が、韓国済州島で200人の女性を無理矢理連れ去るという“慰安婦狩り”を行ったという証言。
主な著書は、『朝鮮人慰安婦と日本人 -- 元下関労報動員部長の手記』 新人物往来社 (1977年3月)、『私の戦争犯罪 --
朝鮮人強制連行』 三一書房 (1983年7月)で、朝日新聞が初めて取り上げたのは、1982年9月の大阪支社版の社会面で、吉田氏の講演を報じた。
しかし、直後に済州島で取材した秦郁彦(現代史家)氏によると、最初に虚偽に気づいたのは済州島の記者であるという。
このことは下に挙げた『深層NEWS「慰安婦問題」を考える』の番組の中での秦氏の発言で、下は吉田証言に関するコメントを一部抜粋したもの。
- 吉田氏の著作はすぐに韓国語訳されたため、韓国人の記者も調査をしていた。
- しかし、吉田氏が著したような事実は確認できず、逆に、「なぜ日本人はこんな嘘をつくのだ」と指摘された。
- 同時期、NHKも取材をしたが、同様の理由で、吉田証言を取り上げるのをやめた。
3は恐らく、NHKのディレクター池田信夫氏がテレビで語ったこと『元NHK・池田信夫氏が福島瑞穂の悪行を証言 H26 2 14』(YouTube)をさしていると思われる。動画タイトルがこのようになっているのは、元慰安婦として日本政府に賠償を求めた金学順氏がテレビに出演する際、福島氏が演技指導をしていたという発言のためだと思われる。3分30秒あたり~)
なお、この番組の中で池田氏は、元々の要求は、慰安婦として働いた対価が軍票で支払われていたため、戦後それが“紙くず”になってしまったのを補償して欲しいというものだったと語っている。
※2 下は、8月5日付朝日新聞記事『慰安婦問題の本質 直視を』の一部抜粋だが、この記事では最初に、なぜ今になって慰安婦問題を検証し、過去の“誤報”を取り消すに至ったかという理由を述べている。
しかし、それに続く左の抜粋部分で述べているように、あくまでも「事の本質は、女性の尊厳が踏みにじられた」事であるという態度のようである。
恵村順一郎コメンテーター(朝日新聞論説委員)の発言は、この考えを代弁したものだと思われる。
前述のように、この記事は検証記事の序文のようなもので、特集記事を掲載した理由について述べている。その理由(論理展開)として、
- 日韓関係がかつてないほど冷え込んでいるのは、慰安婦問題を巡る両国の溝である。
- 慰安婦問題が政治問題化する中で、一部の論壇やネット上で「慰安婦問題は朝日新聞の捏造だ」という言われなき批判を受け、元慰安婦の記事を書いた元記者(ブログ主註:今年3月に退職した植村隆記者のことと思われる)が名指しで中傷される事態に至っている。
- これについて読者からは「本当か?」という問い合わせが寄せられるようになり、読者に説明する必要があると思った。
ということであるが、これに続くのが画像の部分である。「慰安婦の強制連行」の根拠となる吉田証言が虚偽と判明し、強制連行があったと主張できなくなったので、普遍的な女性の尊厳の問題へと論点をすり替えると宣言しているようなものである。
※3 梁順任(ヤンスニム)
産経新聞 2011.5.9 09:43 配信web記事『「日本から補償金」3万人だます 韓国の団体幹部ら摘発』によると、「日本統治時代の戦時動員被害者に対し、日本政府などから補償金を受け取ってやるといって弁護士費用などの名目で会費15億ウォン(約1億2千万円)をだまし取っていた団体幹部など39人を、詐欺の疑いで摘発したと発表した。被害者は3万人に上る。」
2014年2月、証拠不十分で無罪
※4 この一連の報道の一つとして、日テレNEWS24の『深層NEWS「慰安婦問題」を考える』を視聴した。(リンク先動画 42分33秒/既に公開終了。 )
- ゲスト:秦 郁彦(現代史家)、下村満子(元アジア女性基金理事・元朝日新聞編集委員)
- キャスター:玉井忠幸(読売新聞局次長兼編集委員)、小西美穂(日本テレビ報道局)
これで分かったのは、吉田証言が“一人歩き”して以降、「挺対協」(ていたいきょう/正式名称「韓国挺身隊問題対策協議会」)という団体が“モンスター化”(下村氏)してしまったそうである。
最近でもちょくちょく話題になるが、海外で「慰安婦像」を建てているグループの中心で、元“慰安婦”の方々がほとんど鬼籍に入られて、活動目的がなくなったはずの今も、賠償と公的な謝罪を求め続けていると言う。
また、番組で下村氏が語ったことによると、日韓両政府が合意して発足した「アジア女性基金」(正式名称「女性のためのアジア平和国民基金」/1995年7月発足-2007年3月31日解散)は、元慰安婦という女性を調査し、要件を満たせば500万円の“償い金”を支払ってきたが、これを受け取る女性を妨害していたそうである。
韓国政府も「慰安婦問題」に関しては、既に、この団体に口を出すことはできなくなっていると言う。
- 以下の時系列は2014年9月12日付読売新聞14面等を参照して作成したもの。
- 更に、後述する第三者委員会の調査報告を読んで加筆中。(気長に作業します)
- 朝日新聞社の行動・掲載記事(記名記事の執筆者は分かる範囲で記載)
1982年(昭和57年)9月2日 〔朝日新聞〕大阪本社版にて、吉田清治氏が「慰安婦狩り」を実行したとする証言を初掲載
- 執筆は清田治史/きよたはるひと記者(2010年朝日新聞社退社)
1982年(昭和57年)9月2日 吉田清治氏の著書「私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行」発行(清田治史記者)
1986年(昭和61年)7月9日 〔朝日新聞〕アジアの戦争犠牲者を追悼する集会での吉田氏の講演を紹介する記事掲載
1990年(平成2年)6月19日 〔朝日新聞〕大阪本社版が、吉田氏が終戦直後、山口県知事の命令で「強制連行」関連書類を証拠隠滅のために焼却したとする証言記事を掲載
1990年(平成2年)9月24日~28日 自民党の金丸信元副総理と社会党の田辺誠副委員長を団長とする訪朝団が北朝鮮を訪問する/金日成主席と金丸氏とのトップ会談
1991年(平成3年)8月11日 〔朝日新聞〕大阪本社版にて、元慰安婦の金学順さん(この時点では匿名)の証言を韓国メディアにも先駆けて掲載(植村隆記者-2014年3月朝日新聞社退社)
- 東京本社版では翌12日に一部を削除して掲載…当時の取材チームは東京社会部・市川速水記者が率いていた。
1991年(平成3年)8月 NHK『ニュース21』にて金学順氏のインタビューを放送
- 元NHKディレクター池田信夫氏の2014/08/12付ブログ『植村記者の記事は誤報ではなく捏造だ』より
- そのとき金学順氏は「キーセンに売られ、養父に連れられて慰安所に行った」と話したとのこと。
- 【関連サイト】に貼った動画(既に削除)によると、7月に元慰安婦の代理人をしていた福島瑞穂弁護士(当時はまだ政治家ではなかった)から、NHKに「キーセンに売られた女性の『人身売買』の話だという内容で売り込みがあったと言う。2012/02/14付動画では、池田信夫氏がテレビカメラの回っていない時に、福島氏が元慰安婦に“演技指導”をしていたと発言している。
1991年(平成3年)11月 NHK『ニュース21』にて吉田証言を放送
- 読売新聞2014/09/05付ネット配信記事『「慰安婦」吉田証言 NHKも1回放送』(リンク切れ)より
- 4日の定例NHK会長記者会見で明らかにしたもの。韓国人元慰安婦らが日本に補償を求めて翌月提訴することを踏まえ、複数の証言者の一人として吉田氏に行ったインタビューを紹介していた。吉田氏は92年2月に関西圏で放送された報道番組「発信基地」でも、朝鮮人の徴用について話を聞いていたという。
1991年(平成3年)11月15日 広辞苑・第4版に「朝鮮人強制連行」の項目登場(発行者には安江良介が名前を連ねている)
- “日中戦争・太平洋戦争期に100万人を超える朝鮮人を内地・樺太(サハリン)・沖縄・東南アジアなどに強制的に連行し、労務者や軍夫などとして強制就労させたこと。女性の一部は日本軍の慰安婦とされた。”
- →2018年1月に発行された第7版では人数が「労務者だけで約70万人」に変更されている。
1991年(平成3年)12月6日 金学順さん等が日本政府を相手取り補償を求めて東京地裁に提訴
- 現社民党党首福島瑞穂氏、高木健一弁護士等が弁護団として関与
- 原告団の北朝鮮系遺族団の幹部は朝日新聞記者植村隆氏の義母(この年の始めに結婚)
1992年(平成4年)1月11日 〔朝日新聞〕旧日本軍による慰安所の設置や募集の監督、統制についての「国の関与を示す資料が防衛庁図書館にあるとする記事を掲載
- 慰安婦と挺身隊を混同し、「主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した。その数は8万とも20万ともされる」という内容の記述
1992年(平成4年)1月14日 上記報道を受け、宮沢首相が韓国メディアの共同インタビューで、慰安婦問題について、日本軍の関与を認めた上で謝罪。
1992年(平成4年)1月16日~18日 宮沢首相訪韓
- →1月17日 盧泰愚(ノ・テウ)大統領に「筆舌に尽くしがたい苦しみをなめられたことに衷心よりお詫びと反省を申し上げる」と謝罪
朝日新聞は否定しているが、宮沢首相訪韓に合わせて慰安婦報道を行ったのではないか。
1992年(平成4年)1月23日 〔朝日新聞〕夕刊コラム「窓」で「私が強制連行した朝鮮人の内、女性の全部が死んだと思います」などの吉田氏の証言を掲載。
1992年(平成4年)3月3日 〔朝日新聞〕「窓」で吉田証言の疑問の声を紹介し、「知りたくない、信じたくないことがある。だが、その思いと格闘しないことには、歴史は残せない。」と指摘。
1992年(平成4年)4月30日 〔産経新聞〕吉田氏の証言に疑問を投げかける秦郁彦氏の研究結果を掲載
※上記のような調査が進むにつれ、1992年頃にはジャーナリズムの世界では吉田証言は虚偽であることが常識となっていたが、これ以降も朝日新聞は2007年まで散発的に吉田氏を取り上げ続ける。
1992年(平成4年)7月6日 日本政府が、慰安所の運営などについて旧日本軍の関与を認める調査結果を発表 加藤紘一官房長官が改めて謝罪
1992年(平成4年)8月13日 〔朝日新聞〕吉田氏が訪韓して金学順さんに謝罪したことを伝える記事を掲載
1993年(平成5年)8月4日 河野洋平官房長官が元慰安婦への「お詫びと反省」を表明する談話を発表
1994年(平成6年)1月15日 〔朝日新聞〕創刊115周年記念特集「政治を動かした調査報道」で一連の慰安婦報道を紹介
1995年(平成7年)7月19日 アジア女性基金設立(元慰安婦への「償い金」支給事業などを行うもの) →2007年3月31日解散
1996年(平成8年)4月19日 国連人権委員会がスリランカの法律家クマラスワミ報告を「留意」との表現で採択
- ←報告書の根拠や証拠は吉田証言を採用 →2007年7月の米下院決議でもこの報告書が引用された
- これにより、
- 慰安婦を「軍用性奴隷」と定義
- 日本政府に元慰安婦への補償を勧告
1996年6月 歴史教科書問題
- 翌年度から使用される予定の中学校用歴史教科書に、第二次世界大戦中における我が国による朝鮮人の強制連行(徴用)や慰安婦問題について、「朝鮮などの若い女性たちを慰安婦として戦場に連行しています」(大阪書籍)等の記述が掲載されることが明らかとなり、その掲載に反対する多様な論者・団体が、種々のメディアを通じて掲載阻止の運動を繰り広げるようになった。
既に吉田証言の信憑性が失われたにもかかわらず慰安婦報道を続けてきた朝日新聞だが、歴史教科書問題に関する議論が盛んに行われるのに伴い、吉田証言の信ぴょう性に関する論争が再燃し、朝日新聞の、吉田証言に関する一連の記事に強い非難が集中。過去の報道を検証せざるを得なくなった。(第三者委員会報告 P.25)
1997年(平成9年)3月31日 〔朝日新聞〕慰安婦問題の特集記事を掲載
- 吉田証言について、「真偽は確認できない」とするに留める(清田治史記者)…つまり、適当な検証でお茶を濁そうとした。
1997年(平成9年)4月1日 中学校用の教科書に「慰安婦」に関する記述が登場
1998年(平成10年)8月21日 国連人権委員会がマクドガル(マクドゥーガル)報告書を「歓迎」の表現で採択
2006年(平成18年)12月 朝日新聞前ソウル支局長・市川速水氏が産経新聞ソウル支局長・黒田勝弘氏と共著で『朝日vs.産経ソウル発―どうするどうなる朝鮮半島 (朝日新書)
』)出版
2007年(平成19年)3月16日 米下院が慰安婦問題について、日本に公式謝罪を求める決議を採択
2007年3月31日 アジア女性基金、役割を終えたものとして解散
2011年8月30日 韓国の憲法裁判所が、元慰安婦の賠償請求権について、韓国政府が解決に努力しないことを「違憲」とする判決
2011年12月14日 ソウルの日本大使館前に従軍慰安婦の少女像を連想される少女像が設置される
2013年7月30日 米カリフォルニア州グレンデール市内の公園に従軍慰安婦の少女像が設置される
2014年3月14日 安倍首相が国会で河野談話を踏襲と明言
2014年6月20日 政府が河野談話の作成過程の検証結果を発表
2014年8月5日 〔朝日新聞〕従軍慰安婦に関する過去の記事の一部を誤りと認める特集記事を掲載
2014年9月6日 〔朝日新聞〕『池上彰さんの連載について おわびし、説明します』記事を掲載(東京本社報道局長・市川速水)
2014年9月11日 〔朝日新聞〕木村伊量(ただかず)社長が記者会見
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