【書籍】『統合失調症がやってきた』(ハウス加賀屋・松本キック著)
少し前に話題になった本で、ようやく読むことができた。実は、この本を知って興味を持ち、図書館で予約したところ、順番が回ってくるまで半年くらいかかった。
内容は、お笑いコンビの松本ハウスの一人、ハウス加賀谷氏が統合失調症を克服して再び芸人として復活したというエピソードを中心に、子供時代の話と統合失調症の発症、グループホームでの生活、お笑い芸人を目指して相方の松本キック氏との出会い、そして入院、再び舞台に戻るまでが語られている。
この病気について、ほとんど知識はないが、症状が悪化した状態の患者がどんな“世界”を見ているのかということ、信頼できる医師に出会い、自分にあった薬を見つけることで、十分社会復帰ができるということが分かった。
また、閉鎖病棟に入院までした著者が再び舞台に立つまでには、本人のモチベーションや家族の協力、適切に接してくれた知人が重要な役割を果たしており、特に相方の松本氏の存在は大きく、後書きを読んで知ったが、実際に執筆したのは松本キック氏である。(本は一人称で書かれている。)
本の内容は、ネットの対談記事『芸人・松本ハウスが語る統合失調症からの社会復帰』でおおよそ語られているので、興味のある方は一読されると良いと思う。
この本を読んで、一点、気になったことがある。
それは第1章で語られている子供時代のエピソード。
発症の時期が中学生という若い時期であったこともあり、自分がどんな人間(子供)だったのかを伝えたかったとだけかも知れないが、わざわざ、テレビや習い事に関して親から強い干渉を受けたエピソードを語っていた。よく言えば教育に熱心な親、悪くいえば過干渉。過干渉と過保護は表裏一体ではないかと思う。
統合失調症の発症との因果関係があるかどうかは分からないし、著者もそのように明言しているわけではないが、自分の子供時代、つまり家庭環を語ったのは、著者にとって大きな心の傷で、あるいは無意識にそこに発症の遠因を求めたのかも知れない。
こんな風に引っかかるのは、この本の読者がどのように感じるだろうかと思ったからだ。
読者の多くは統合失調症の本人だけでなく、その家族も多いのではないかと思う。そして、どのように病気を克服したのかということだけでなく、なぜ、このような病気を発症してしまったのか知りたいに違いない。個人差があるのは承知で、著者のケースは何が原因だったのかと。
確かに、著者のような育てられ方をしたら、ストレスはあっただろうなとは想像するが、統合失調症との因果関係は不明なので、この本を読む人が短絡的に考えなければいいがと思った。
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