(。◕‿◕。) ディスプレイコーナーに設置するレンガ造りの暖炉を作っている合間に、100円ショップのフォトフレームでこんなものを作ってみました。
ミニチュアを飾るためのフォトフレームです。
これはブログ主のアイディアではなく、下の『テディベアのドールハウス』(日本放送出版協会)という本で紹介されていたものです。
【追記】100円ショップの木箱などを使ったドールハウスは下のwebページにインデックスを作成しています。
作り方は見たまんまで、通常のフォトフレームの枠部分を利用して、そこに丁度いいサイズのボックスを作り、背景にポストカードや写真等を貼ります。(この写真は自分で撮影したもの)
地面や床は写真と雰囲気を合わせて作りますが、今回は山やアルム(牧草地)が背景なので、草地や登山道の雰囲気を出してみました。これはもうドールハウスというより、“なんちゃってジオラマ”ですね。
地面以外の3面はミラーシート(というのかな?)を貼っています。これも本の通りで、ミラーシートはプラモデルを扱っているような店で下のようなものが手に入り、キッチンバサミなどのよく切れるハサミでカットできる程度の厚さです。
地面の説明は後述するとして、そもそもこれを作ろうと思ったのは、リュックサックのミニチュアを作ったので、それを飾るのに面白いと思ったからです。山小屋みたいな雰囲気の背景(ドールハウス)を作るより、このフレームの方が簡単にできます。(前に、100円ショップの標本箱で作ったドールハウスの住人をウォルター青年と呼んだのは、たまたまリュックを作った後で、日本の近大登山の父、ウォルター・ウェストンの名前を借りました。登山関係のミニチュアを色々考えていたときなので...だから、特にストーリーが続くわけではありません。)
ところで、このリュックサックの形、年配の方ならごご存じでしょうが、横にポテっと広がった「キスリング」タイプのリュックです。
現在は使う人もほとんどいませんが、ブログ主の父もこのタイプのリュックを持っていて、家にあるのを見た記憶があります。
このキスリングという名前はスイス中南部のグリンデルヴァルト(グリンデルワルト/Grindelwald)という村でこのリュックを製造していた職人の名前に由来しているそうです。
新田次郎の本を多く読んでいるブログ主はここまでは知っていたのですが、もう少し詳しく調べてみたら、現在も東京文京区でキスリングを作り続けている「片桐」というショップのサイトに書いてありました。そのサイトからキスリングを紹介している一文を引用すると、
昭和4年(1929年)、2代目・片桐盛之助のもとに、槙有恒氏と松方三郎氏が、スイスのヨハネス ヒューク キスリング氏の考案・製作したザックを持ち帰り、それをもとに、盛之助は、日本で初めて、キスリング型リュックサックを製造した。
とあります。(ショップのサイトでは本物のキスリングを見ることができます。)
槙有恒(まきありつね)氏(1894-1989)はアメリカ、イギリス、スイスに留学し、新しい登山技術を日本に紹介した登山家ですが、その名を有名にしたのは、大正10年(1921年)のアイガー東山稜初登攀です。松方三郎(まつかたさぶろう)氏(1899-1973)は大正14年(1925年)からヨーロッパに留学し、スイスアルプスに親しんだ登山家でありジャーナリストです。余談ですが、上野の国立西洋美術館に所蔵されている「松方コレクション」と呼ばれる美術品は松方三郎氏の兄、松方幸次郎氏が収集したものです。(詳細は国立西洋美術館HPにて)
日本の登山用語に、ザイル(=ロープ)、ツェルト(=テント)などとドイツ語が多いのはそのためで、リュックサックもドイツ語由来(Rücksack/リュックザック)ですね。
レジャーとかスポーツとしての登山は、前述のウェストン氏の他、明治・大正期にヨーロッパに留学したエリート大学生によって始まりました。そう言えば、新田次郎の『劔岳(つるぎだけ) 点の記』では、測量士のライバルとして、この当時の登山家が描かれています。(明治39年頃の話で、ややエリート風を吹かせたキャラクターに設定されていました。)
ところで、このキスリングについて、もう少し詳しいことが分からないかと、ドイツ語のGoogleで検索したのですが、該当する記述は全く見つかりませんでした。(多分、ヨハネス・ヒューク・キスリングはJohannes Huke Kisslingでいいと思うのですが...)
元々、キスリング氏は馬具職人なのですが、どうしてリュックを作るようになったのかは結局分かりませんでした。ドイツ語で検索しても、ザックとしてのキスリングの記述は見つからなかったので、ヨーロッパではほとんど忘れられているのかも知れません。でも、その名前が日本では一時期登山用リュックの代名詞になって、現在でも作り続けられているというのは面白いですね。
一緒に飾ってあるピッケル(これもドイツ語ですね。)も、リュックの雰囲気に合わせてややクラシックなものにしました。ピッケル(Pickel)は「つるはし」なども意味する単語で、登山用のものは正式にはEispickel(アイスピッケル=ice ax/アイス・アックス)です。
ミニチュアは、同じくグリンデルヴァルトの職人が作ったベント(のピッケル)のつもりです。こちらは現在もピッケルを作り続けています。(HP:Bhend Metallbau GmbH) 現在はは四代目のようで、日本でも取り扱うショップがあります。(「さかいや」ベントの商品ページ) こちらの画像を参考にしてミニチュアピッケルを作りました。(ブログ主は粘土なんかの分量の加減が分からず、いつも多く取り出してしまいます。パテも多く混ぜすぎて、ピッケルのヘッドばかりたくさん作ってしまい、ピッケルは結局4本も作っちゃいました。
)
さて、鋭い方ならお気づきでしょうが、
(>'A`)> なぜ、グリンデルヴァルト縁(ゆかり)の登山用品の背景がマッターホルンなんだ...
Orz Orz Orz Orz Orz
えっと、この写真が気に入ってるから...
アイガーとかユングフラウなんかにすればよかったですね...
ご存じの方も多いかと思いますが、この形のマッターホルンと言えば、麓の村はツェルマット(Zermatt)で、正確には、ツェルマットの村からゴルナーグラート鉄道に乗って行くスネガ(Sunnegga)あたりからの眺めです。ブログ主は終点(標高3100m)にあるクルムホテル・ゴルナーグラート(Kulmhotel Gornergrat)に泊まり、 途中下車してハイキングしたときに撮影しました。なお、Kulmというのは「山頂」の意味で、クルム伊達さんのクルムは調べたらKrummだったのでスペルが違いますね。
ちなみに下は標高3130mのゴルナーグラート展望台から撮影した朝焼けのマッターホルンです。(1999年9月撮影)

確か、ホテルの中を移動するにも高度のせいでヘロヘロだった記憶がありますが、マッターホルンに面した部屋を与えてくれたお陰で、下のような夕景が撮れました。
あぁ、この時の旅行はまだ『旅の記録』にまとめていなかったっけ...
話がどんどん逸れていくので、ここらで軌道修正。
ミニチュアの話でしたね 
ドールハウスで屋外、例えば、庭の芝生とか草や木、土などを表現する場合、以前ブログでご紹介したドールハウスのミニチュア小物シリーズの『花と緑の本』にも少し紹介されていますが、鉄道模型のジオラマ(シーナリー)用に売られている素材が役に立ちます。
木粉などでできたシーナリーパウダーとかスポンジのフォーリッジとか、そういうものを一度鉄道模型の材料を扱っているショップなどでご覧になるといいと思います。芝生や木、地面などに使えるものが見つかりますよ。(白いパウダーもあるので、これは雪の表現に使えると思います。)
で、具体的な使い方は、実際に鉄道模型やジオラマを作ってる方のサイトやブログの方が役に立つので、検索してみて下さい。
ただ、ジオラマ用の材料は結構お高い...(まぁ、ドールハウス用の素材もいい値段がするようですが...)
で、ブログ主は手持ちのもので何とかしました。
と言っても、これもどこかのジオラマ製作サイトを参考にしたのですが、シーナリーパウダーを園芸用の川砂で代用したのです。
簡単に作り方を書くと、ホームセンターなどの園芸コーナーなどで売っている川砂を洗って「みじん」というか土を落とし、茶こしなどで振るいます。これにアクリル絵の具を混ぜて乾かして使います。
川砂は園芸では用土に混ぜて水はけをよくしたりするのに使い、一袋(2Lくらい)200円程度で売っています。ブログ主は以前園芸用に買ったものがあったので、自作のパウダーの作り方を知って、使うあてもないのに取りあえず作っておいたのでした。
今回、アルム(牧草地)に使ったのは緑と黄土色に着色した砂を混ぜたもので、川砂は元々灰色~黒色なので単色でも濃淡がでますが、黄土色を混ぜて少し明るめのグリーンにしました。
登山道は白のアクリル絵の具で着色した川砂で、これは真っ白にはならず、明るい灰色になりました。
少し大きめの粒は川砂を振るったときに選り分けられた小石です。
草をイメージして追加したのはモス(苔)で、明るい色のモスは、これも模型店に売っていますが、手芸店のアートフラワーコーナーなどでも手に入る「アイランドモス」というものです。(この「アイランド(Island)」は「島」の意味ではなくてアイスランド共和国(Lýdhveldidh
ĺsland)の「イスランド」に由来するので、「アイスランドモス」も同じものです。)和名はエイランタイ(依蘭苔)といい、学名は Cetraria islandicaです。
【追記】アイランドモスはジオラマや鉄道模型(シーナリー)の世界では「ライケン」という名称で呼ばれることが多いようです。実は、アイランドモス/アイスランドモスは正確には「苔」ではなく、「地衣(ちい)類」と呼ばれるもので、百科事典によると「菌類と藻類の共生体」だそうです。Lichen(ライケン)とは「地衣類」英語表記で、模型店で売られているパッケージには「アイランドモス」とも書かれていました。
濃い色のものは、やはり手芸店で買った苔(多分、水苔に着色したもの)です。
ついでにリュックなどのミニチュアの作り方を簡単に説明します。
【リュックサック】
縫い目が汚い... 
作り方を書こうと思ったのですが、適当に布で作っただけでした。
本体の袋状の部分は縫い代なしの大きさが5cm×5cm。(縫い代は5mm)中に綿を入れ、上の方をぐし縫いして絞り、フラップ(蓋)はボンドで付けています。
なお、キスリングと言えば形もさることながら、この色なのですが、イメージ通りの布がなかったので、布用絵の具で白い布(シーチング)に色を付けました。
【ピッケル】
柄は巻き簀から抜いた棒(直径2.5mmくらい)を5cmにカットして作りました。ヘッドは(樹脂粘土でも良さそうですが)、以前、使い方もよく分からずに買
うだけ買っておいた軽量エポキシパテです。かなり粘つくのですが、指先に水を付けながら造形するとべたつかず、3時間ほどで硬化するようです。硬化後はナイフ
で削ったりヤスリをかけたりすることができます。
【ザイル】
たこ糸くらいの太さの麻紐です。これは100円ショップのラッピング用品のコーナーで見つけて買っておいたもの。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
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