カーラのゲーム
録画しておいた『池上彰の戦争を考えるSP』(8月15日19:00~@テレビ東京)を視聴。
私は普段あまり池上ものを見ないけれども、生徒役に分かりやすく講義するという、(多分)いつもの形式の番組。
時系列に沿って説明する番組というのは(意外と)珍しいし、貴重な映像をたくさん紹介してくれたので、『分かりやすさ』という点からはそこそこよくできていた思う。もう少し年表を細かくして、『戦争を回避する機会』や、何度かあった『戦争を終結する機会』に焦点を当ててメリハリがあればよかったけど。
貴重な映像と言えば、校庭で『軍事教練』?みたいなことをしていた小学生なんて、戦火に遭わないで生き延びていれば、戦時中は楽しい思い出として残ったのではないかと思うくらい、屈託ない笑顔だった。
しかし、時間が足りないのであれば、あの“旧満州紀行番組”はどうにかならなかったのだろうか?アナウンサーが、始めから「日本人は悪い」という先入観を持ってルポしていて、あのコーナーだけ浮いてたし。
日本が統治していた時代の建物を見ても、侵略の象徴のような感想しか述べていなかったけれど、東京駅のような外観の瀋陽駅周辺の建物の色を合わせて景観を損なわないように努力している意味を考えないのだろうか、と...
インタビューを受けた現地の人が「(日本人が建てた駅を使うことに関しては)まだ使えるんだからいいんじゃない?」と軽く答えていたのには笑ってしまった。
でも、列車のボックスシートを見て、「始めから向き合ってる!」とか驚いてたので、そのレベルのアナだとは気付いたけど。(東京近郊なら、東海道線とか横須賀線とか乗ったことはないのだろうか?)
あんなコーナーを挟まれて、なんとも池上氏が気の毒でした。
『侵略者としての日本』を描く番組はお腹いっぱいなので、そろそろきちんと『無能な指導者達』に焦点を当てた番組を見てみたいのだけれど、ご遺族などの関係で難しいのかな?
無駄な時間と言えば、ユーゴスラビア内戦のコーナーも、番組趣旨からすると、ほとんど関係ない気がしたけれど、意外とよくできていて感心。
こちらも深く掘り下げているわけではないけれど、池上氏の説明に無駄がなく、概略を掴むという点では分かりやすかったし、紛争中の映像だけでなく、サラエボの地形を映す映像やボスニアヘルツェゴビナの通称『スナイパー通り』も、高い位置からの映像で見られたのはよかった。
この番組で見た映像で、『カーラのゲーム』(ゴードン・スティーブンズ著/創元ノヴェルス)の冒頭、主人公のカーラが橋を渡って配給を受け取りに行く光景がよりリアリティをもったから。
この本は私がユーゴ紛争に興味を持ったきっかけの一つになったのだけれど、歴史的背景をそれほど知らなくても、カーラという女性の成長劇として読めばカタルシスを感じて爽快感もあるし、ハードボイルド“風味”もあって、完全なハードボイルドは苦手な人でも楽しめる娯楽作だと思う。
お薦めの一冊です。
« 有料情報、無料情報 | トップページ | 【若宮八幡宮例祭】連合渡御 今年が最後か »
コメント