最近よく、「事業仕分け」というのがニュースなどでも取り上げられますよね。
『聞こえてこない現場の声 事業仕分け 教育予算めぐる攻防』(asahi.com)
無駄な予算を廃止して、予算や行政のスリム化を図るのは賛成ですが、この記事の、
事業仕分けでは、「英語ノート」も俎上(そじょう)に上った。小学5、6年生では11年度に外国語活動が完全実施されるが、それがスムーズに進むよう冊子をつくって各校に配布している。
ここでも蓮舫氏は「デジタル化し使いたいところが使えばいい」。ネットにデータを置き、必要な学校がダウンロードして印字すればいいという考えだ。
というのは、どうなのでしょうね?
「小学校での英語教育が必要か?」という、“そもそも論”もあるけど、学校の先生は、本当に忙しいし、教材の印刷まで...と考えると、気の毒な気がします。
ただ、このことを話題にしたいわけではありません。たまたま、この記事に関する某巨大掲示板の関連スレッドを読んだとき、驚いたレスがありました。
おれ、小学校の時、筆記体で挫折した。
えっ、と思ったら、さらに、
今は筆記体なんて習わないんだよ。
またまた、えっ!
そこで、グーグル先生に聞いてみたら、確かにそうらしく、とある質問掲示板に、『英語の筆記体がかけるようになりたいです。』という相談がありました。それに、“筆記体も練習できる”というローマ字教材も検索されました。
( ゚д゚) ホントだ...
これって、『ゆとり教育』の弊害? それとも、筆記体は無意味だと思われているの?
大体、授業の中で筆記体にそんな時間を掛けなかったけどね。小学校でブロック体しか習っていなかったので、中学校で習った筆記体がやけにかっこよく見えて、積極的に使っているうちに覚えたという記憶。
確かに、英語圏の人が、我々が小学校で習ったような筆記体で書いてくれるとは限らないし、PCなどの普及につれてか、英語圏でもブロック体で書く人が増えてきているのだそうだけが、ブロック体と言っても、我々が習ったようなブロック体でないし。
昔、ニュージーランド人のおじいさんと文通していたときには、どちらかというと筆記体っぽい書き方だったけど、読めない文字があって、まるで、シャーロックホームズの『踊る人形』みたいに判読してたっけ...
やっぱり、筆記体という、アルファベットの書き方のバリエーションも知っていないと、欧米人の手書き文字が読めないと思うんだけどなぁ。
『欧米人』と書いたけど、同じようなアルファベットを使っている国でも、その国によって、文字の崩し方って異なるようです。
ちなみに下は、Wikipediaから拾った「筆記体」のサンプル。(左が英語、右がドイツ語)
微妙に違いますね。それに、(日本人が楷書で書くとは限らないように)こんなお手本通りの文字を書く人なんて少ないし。
私の少ない海外経験でも、英語圏の人もそうですが、ドイツ人の書く文字(というか、ミミズがのたくったような文字)は、小学校で習ったアルファベットの書き方とは異なります。ドイツ人が日常で書く文字は筆記体とかブロック体とか区別していないようだし、単に崩して書いているだけと言う気がします。
下は、旅のスクラップ帳に貼ってあったオーストリア人の書いた領収書。
確か、年配の女性だったと思うけど、これはきれいな字ですね。
上から、
1 Edelweiß
Brosche 365
1 Tiroler
Glücksring 160
Silber
Danke
と書いてありますが、実は欧米に行くと、アルファベットだけじゃなく数字も問題なんだな、これが。(画像のように「1」は極端な“髭”をつけないと判読して貰えない可能性があります。)
下は、同じくオーストリアのツーリストインフォメーションでバスの乗り継ぎを尋ねたときに書いてくれたメモ。今では一部判読不可能。
下は、ドイツでのスナップ写真に写っていた手書き文字。
これは、Adventsgestecke と書いてあります
ついでに言うと、ドイツ語の場合は、筆記体というか、フラクトゥール(独:Fraktur)という、古い字体があって、レストランなんかの看板に今でもよく使われるけど、複雑な文字は全くお手上げです。(↓はサンプル)
ただ、私の好きな、エッセイをお書きになる佐貫亦男先生(故人)が、ドイツを旅行中、若いドイツ人学生の前で、フラクトゥールを書いたら驚かれた、と書いていたくらいだから、これはもう、カリグラフィーの世界かも。
欧米人の手書き文字が読みにくいのは、筆記体云々ではなくて、元々、字があまり綺麗じゃない人が多いのかも知れないけど...
日本人の場合は、「字が綺麗」というのが、美徳、とまでは言い過ぎかも知れないけど、長所のように思われていますからねぇ。(もしかして、今は「習字」とか、「かきかた」も授業がないのかな?)外国人は、字の美醜なんて気にしないのかと思ったら、ドイツ人に「字が綺麗だ」と褒められたことがあったから、そうでもないようだし...
もう一度筆記体の話に戻ると、練習方法としては、最近は練習帳も売っているようだし、最初はなぞり書きで真似して書く練習をしたらいいんではないでしょうか。
或いは、ちょっとクセがあるかも知れないけど、Wordなんかに適当な英文をコピペして、英文フォントを筆記体っぽいものに変え、お手本を自作するとか。なければ欧米の文字の無料フォントをダウンロードして作るという手もあります。
下はドイツ語のサイトでダウンロードしたフォントですが、こんな感じでサンプルを作ってみてはどうでしょう。(今気づいたけど、小文字の“z”はこれでは“r”と間違えられるかも知れません。)
下は適当な英文をコピペして作ったもの。
ちなみにこのフォントはElegantという名称のもので、ここからダウンロードしました。
同じ文を別のフォント(確か英語のサイトからダウンロードしたもの)で書くとこうなります。
あ、よく、「海外で、トラベラーズチェックやクレジットのサインをするときには、ブロック体だと真似されやすいので、筆記体にしましょう」とか言う人がいますが、これは、漢字が一番ですよ。私は時々、サインをするときに紙を縦にして、縦書きで漢字の名前を書くこともあります。少なくとも、相手(店員)がビックリするので、面白いですよ。
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