法隆寺を建てたのは...
私は、ブログをメモ代わりに利用していて、日記というより、気になった記事や情報を「下書き」状態で記入しておき、後から調べたことなんかを追加して、文章の体をなすと、日記として「公開」しています。だから、いつも、一つの記事としてはまとまりがなくなっちゃうんです。
この記事も、少しずつ書きためたものなので、少し前の話です。
先日、生命保険に関する手続きで、担当者の方が家まで書類を取りに来てくれました。
内容を確認して貰って、事務的な手続きは5分ほどで終わったのですが、時間があるということで、お茶とケーキで韓流スターなんかに関しておしゃべり。(おぉっ!「はんりゅう」で「韓流」と変換された。)「(いわゆる韓流スターの中では)チャンドンゴンが一番かっこいい!」なんて、盛り上がっちゃいました。彼女曰く、「ペ・ヨンジュンがニコニコしてるのは、日本でだけですよ。 韓国ではブスッとしてます。」らしいです。w
その方(取り敢えず、リーさんとしますね。)は、韓国からいらした方で、詳しいことは知らないけど、大学生の時に留学してきて、こちらで結婚したそうです。
せっかく日本にいるのに、あまり日本を旅行したことがないとのことで、京都や奈良はおろか、箱根にも行ったことがないそうです。12月に箱根に行きたいと言っていたので、箱根のガイドブックをあげたりして、日本と韓国の観光地について、しばし歓談。
リーさんによると、韓国は、日本に比べて、驚くほど古い建物が少ないのですって。(貴重な南大門も焼けちゃったしね。)
恐る恐る、「戦争で破壊されたから?」と聞いてみると、日本との戦争もそうでしょうが、主に、中国によって破壊されたそうです。
リーさん「日本には、お城なんかもたくさんありますよね。大阪城とか...」
私「あれは、豊臣秀吉が...あ、豊臣秀吉って、韓国では大悪人ですよね。 」
リーさん「はい。 」
リーさん「奈良とか京都とか行ってみたいんです。写真で見ると、お寺だけではなく、古い建物がたくさんあって、韓国にはほとんど古い建物がないんです。」「お寺だって、韓国には、有名な古いお寺が、○○寺と△△寺(←聞いたけど、忘れちゃいました。)くらいしかないし...」
そこで、私は、以前お茶を習っていたときに買った、『利休大辞典』を持ち出してきて、古い茶室の写真を見せると、「韓国の古い家みたい...」と、リーさん。
この『利休大事典』って、ほとんど無理矢理買わされたようなものなので、大して読みもせずに放っておいたけど、あらためて開くと、写真も豊富だし、利休の生涯を解説した章は、現在私が興味を持っている戦国武将との関わりにも言及されているし、時間ができたら、ゆっくり読みたくなりました。(淡交社/頁数:854頁/\18,000円←ボリュームはあるけど、(値段が)高いことは高いですね。)
そうなんですよね。茶道の世界なんて、結構、韓国(朝鮮と呼ぶべきか)由来のものが多いんですよね。元々は生活に密着した、ごく日常的な食器などが、千利休のような審美眼の高い粋人が好んで、それを芸術の世界まで高めて、今の世にも残っている...リーさんも、それに気付いたようで、「日本では、韓国から無くなってしまったものを、たくさん見ることができるようですね。」と仰ってました。
で、ここからは、実は私が、ある新聞の、「年々、韓国から日本に修学旅行に来る高校生が増えている。」という記事を踏まえた意見を投稿欄に応募し、掲載された記事の繰り返しなんですが、
「奈良の古寺を訪れる、韓国の高校生は、自分たちの祖先がこれを建てたのだと、誇りを持って見て欲しい。」
と思ってます。
私は、『最後の宮大工』と呼ばれた、西岡常一(つねかず)氏に興味があって、関連する本を何冊も読み、法隆寺や薬師寺といった、西岡棟梁が携わった寺巡りをしたこともあるのですが、法隆寺について、「法隆寺は『飛鳥時代の大工』が知恵を出しきって作ったんです。」(『』はブログ主)と仰っています。法隆寺創建に際して、旧来の堀立柱式を礎石式に変えた事実に関しても、「百済工人の執念なのか、後から来た新羅工人の新知識によるものなのか」と。
つまり、現在のように、日本とか韓国といった国になる前は、特に技術者達の交流は盛んで、(←これは小学校の時にも習いましたよね。)奈良に見られるような飛鳥時代の建物は、単に、朝鮮半島の技術というだけでなく、実際に、半島から渡来してきた工人と、日本の工人が共に建てたということです。
薬師寺に行くと、西岡棟梁が建てた西塔が、フェノロサが「凍れる音楽」と表した東塔の隣に建っています。棟梁の名言は色々あるけど、私がかっこいいと思うのは、この西塔に関して仰った、
「西塔は、今、基壇が高くなって塔も一尺高くなっているけど、五百年もたつと東塔と同じぐらいまで沈むんですわ。そして千年たって東塔と並んで西塔が建っておりましたら、ええですがな。」 (註)1尺は約30.3センチ)
う~ん、かっこいい。
実は、上の行で終えるつもりだったのですが、アーネスト・フランシスコ・フェノロサ(Ernest Francisco Fenollosa、1853年2月18日 - 1908年9月21日)について、念のため、Wikiを調べてみたら、こんな一文がありました。
なお、奈良県にある薬師寺の東塔を「凍れる音楽」と評したとも言われるが、「建築は凍れる音楽」というフレーズ自体は、もっと以前からドイツなどで使われていたものであり、薬師寺東塔を評して「凍れる音楽」と評したのはフェノロサではないという説もある。
出典:町田甲一『大和古寺巡歴』、講談社学術文庫、1989
それで、ドイツ語のグーグル先生のところで、「多分、『凍れる音楽』は„gefrorene Musik”だろう」と検索してみたら、やはり、それらしいことが分かりました。ドイツ語で言うと、
„Architektur ist gefrorene Musik“
確かに、「建築は凍れる音楽である」という意味です。
で、誰の言葉かというと、ドイツの哲学者、アルトゥル・ショーペンハウアー(Arthur Schopenhauer, 1788年2月22日- 1860年9月21日)でした。
Wikiによると、「19世紀後半から20世紀にかけて活躍した多くの哲学者、芸術家、作家に重要な影響を与えた。日本でも森鴎外をはじめ、堀辰雄、萩原朔太郎、など多くの作家に影響を及ぼした。」とありますから、フェノロサも、彼の言葉を引用したのかも知れませんね。
【西岡常一氏に関する参考図書】
■木に学べ
著者: 西岡常一
出版社: 小学館 (税込 580 円)
サイズ: 文庫
ページ数: 283p
■法隆寺を支えた木
NHKブックス
著者: 西岡常一 /小原二郎
出版社: 日本放送出版協会 (税込 966 円)
サイズ: 全集・双書
ページ数: 226p
■古寺再興
現代の名工・西岡常一棟梁
講談社文庫 (税込 673 円)
著者: 長尾三郎
出版社: 講談社
サイズ: 文庫
ページ数: 346p
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